1.花

1-1. 花房(花序)
アジサイは対生の2節の枝4本と茎の先端の1本、計5本に多数の花がつき花房となる。小さな花が多数集まった花房が1つの花のように見える。
1-2. 両性花と装飾花
1つの花房は中心部の小さな多数の両性花と周辺に並ぶ少数の大きな装飾花からなる。両性花は小さくてもガク、花弁、雄しべ、雌しべがそろった正常の花で種子をつくる。装飾花は大きく目立つが雌しべが退化していて種子はできない。装飾花で花弁のように見えるのはガク片であり、花弁は両性花と同じで非常に小さく開花後すぐに散ってしまう。装飾花で大きく目立つガク片は花粉を運ぶ昆虫を呼ぶために発達したと云われる。バイカアマチャギンバイソウは両性花が大きく目立ち、装飾花は小さく目立たない。
1-3. 花芽分化
春から初夏に花が咲く木は前の年の夏頃に小さな蕾が出来る。これを花芽分化という。アジサイでは8月の下旬から10月頃花芽分化するものが多い。花芽分化は充実した枝で行われるので、数ヶ月前から枝の成長と養分の蓄えが必要である。春から伸び出して花をつけなかった枝には花芽分化までに充分な時間がある。しかし、花の後に伸び出す枝に蕾をつけるには出来るだけ早く花殻を摘み取り、栄養を枝の充実に振り向ける必要がある。ヤマアジサイやカシワバアジサイは6月中に花殻を切り、ガクアジサイや園芸アジサイは7月中に花殻を切ると良い。冬越しをする大きな芽の中には蕾が入っているので、秋・冬に枝を切ってはいけない。
1-4. 新枝開花性(新梢開花性)
アメリカノリノキやその品種である‘アナベル’、タマアジサイ、ノリウツギなどは春に伸び出した枝が花芽分化をしてその年の蕾をつける。この性質を新枝開花性(新梢開花性)という。秋まで次々に花が咲くと評判の‘エンドレスサマー’や古くからある‘四季咲きヒメアジサイ’も新枝開花性がある。このような種類のものは、ヤマアジサイとは花芽分化のしかたが異なる。新枝開花性の品種は3月の芽が動き出す前ならばどこから切ってもその年に開花させることが出来る。エゾアジサイの品種は弱いがこの性質を持っているようだ。
1-5. 頂芽着花型と側枝着花型(品種名データはおもに福岡県農業総合試験場の資料による)
園芸アジサイはおもに茎の先端にだけ花をつける。これを頂芽着花型という。ヤマアジサイは頂芽とその下から伸びた側枝に花をつける品種が多い。これは側枝着花型といい、花房の数が多くなる。
ヤマアジサイの側枝着花型の品種には、‘クレナイ’ ‘クロヒメ’ ‘七段花’ ‘紅額’ ‘七変化’ ‘深山八重紫’ ‘桃花ヤマアジサイ’ ‘白扇’ ‘富士の滝’ ‘別子てまり’ ‘マイコアジサイ’などがある。
ヤマアジサイの頂芽着花型の品種には、‘清澄サワアジサイ’ ‘伊予絞り’ ‘紅アマチャ’などがある。
アジサイ百科

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