4. 斑入り
葉に白や黄色の部分が出来たものを斑入りという。斑は不安定なものが多く、枝により年により大きく変化する。江戸時代には斑入りや葉の形の極端な変形を葉芸と称して珍重した。世界にも類を見ないほど多品種の記録が色刷り、墨刷りで残る。江戸時代から明治の初めまでに斑入り品種の投機的大流行が何回か繰り返された。葉の全面が白い個体は光合成が出来ず枯死するが、葉の全面が黄色い個体は正常に生育することが多く黄金葉と呼ばれる。ヤマアジサイには夏出る葉だけが真っ白という大変珍しい斑入り品種の‘紅冠雪’また、花をつけない枝先の葉が数枚だけ黄色い‘黄冠’があるが共に安定した斑である。斑の形態は種類が多く、斑の名称や使い方は園芸団体や個人で異なり統一されたものはない。
『花き標準商品コード』には次の8種類があげられているが説明はなく、これは斑全体の極く一部でしかない。
- 覆輪(ふくりん)
- 爪斑(つまふ)、(つめふ)
- 条斑(すじふ)
- 掃け込み斑(はけこみふ)
- 砂子斑(すなごふ)
- 星斑(ほしふ)
- ぼた斑(ぼたふ)
- 虎斑(とらふ)
- うぶ = 緑色が完全にぬけ全体が白くなったもの。
- 4-1. 後暗み(のちぐらみ)、後冴え(のちざえ)
- ヤマアジサイの斑は開花前に明瞭でも開花の頃には不鮮明になるものが多い。これを後暗みという。逆に開花の頃になると鮮明になる斑も希にある。これを後冴えという。
- 4-2. 曙斑(あけぼのふ)
- 新芽が出た時に大きな斑が現れ、しだいに薄れていく斑。また、境界がぼやけた大きな円い白斑に使うこともある。
- 4-3. 斑ぬけ(斑ぎれ)
- 本来は斑のある品種なのに斑が無くなってしまた株を斑ぬけ(斑ぎれ)と呼ぶ。斑入り品種でも斑の無い枝を出すことが多い。斑の無い枝を放置すると斑のある枝が負けて枯れてしまい斑抜けの原因となる。また不注意で斑の無い枝を挿し木で殖やしてしまうとそれ以後は斑が出なくなり斑ぬけ品種となる。